トレーサビリティの活用
トレーサビリティとは… もともと食品管理のためにでてきたもの。 例えば、スーパーで牛肉を買うと、その生産者や牛の情報を提示できるよう、ICチップが埋められ、それが消費者と生産者をつなぐ役割を果たしている。 身近なものとしては、マクドナルドのハンバーガーの包みにあるQRコードを読み取ると商品のカロリーなど情報が出てくるのを見たことがある人も多いのではないか。 このシステムにより、絵地図とストップモーションを組み合わせることができるトレーサビリティを活用した前例(実例)
上村実例:伝統産業トレーサビリティ「はんなり京都 きもの博士」について
(京都府中小企業団体中央会・京都ブランド)
【目的】
商品(着物)がどのような職人の技によってどのように生産され、加工が施されたか確認できるようにするため。
トレーサビリティは食の安全を保証する目的で広く導入が進んでいるが、伝統産業によるトレーサビリティ導入は、着物や帯など最終製品の生産工程・経路・職人さんの情報を公開することにより、その製品に対する信頼と品質を保証しようというもの。
購入後のクリーニングや補修などの際もどのような作業を行っているのか公開し、顧客の安心感を目指している。
【方法】
「お客様向け」のトレーサビリティと「販売店様向け」のトレーサビリティの2つがある。
「お客様向け」のトレーサビリティでは、購入した商品の番号とお客様番号を入力し、検索すると、きものの形状やキャッチフレーズ、商品説明などの商品基本情報。
責任企業、使用裏地などの生産加工情報。製作・加工の工程など工程トレーサビリティが表示される。
また、注文番号とお客様番号を記入し、検索すると製造途中のお客様の商品の状況を見ることができる。
「販売店様向け」のトレーサビリティでは、商品番号と販売店番号を入力し、検索すると販売店が取り扱っている商品の情報を知ることができる。
【経緯】
このプロジェクトは、「平成19年度京都ブランド・新分野開拓事業(京都府中小企業団体中央会助成事実)」により実施した事業である。
サポートにあたったITコーディネーターの藤原正樹さんによると、これは「ITを活用した京都伝統産業再生」の試みのようで、昨今産業が伸び悩んでいる京都の伝統産業(西陣織や京友禅など)の生き残りのための試みの一つとして「伝統産業におけるトレーサビリティ導入プロジェクト」を行った。
また、伝統産業で使われている“ことば”の標準化も行い、きものに関する用語も公開し、トレーサビリティの理解を深める。
トレーサビリティと社内システムの連携を必要な機能を絞りこむことにより安価に構築することができた。
参考:「ITを活用した京都伝統産業再生の試み」
「伝統産業トレーサビリティ」
植田活用例を3つ挙げます。
●例@:Mr.childrenツアータオル
タオルのタグの部分に商品の繊維情報を記載(下写真参照)したQRコードがある。
「PRE ORGANIC COTTON」
オーガニックコットンへの移行を支えるプログラムというサイトに繋がる。
サイトには →→→ 目的
プログラム概要
農薬被害の現状
トレーサビリティ
アクション
待ち受け画面ダウンロード
などの項目があり、その他、お問合せ、企業のお客様へ、サイトポリシーなどがある。
●例A:マクドナルド (各店舗の商品・HP 両方OK)
商品を入れているパックや箱などにQRコードとURLを記載。
また、HPにも商品QRコードとURLの一覧を記載。
(右写真)マクドナルドHP 商品QRコードの活用法より
→QRコードを読み取るか、URLに接続 →「商品情報」
エネルギーと4つの栄養素、商品説明が掲載。
(下URL:商品QRコード一覧ページ)
●例B:DNV JAPAN web magazine
トレーサビリティ認証 ISO22005 サプライヤー管理についての社会的ニーズ
【運用者(生産者、加工工場、商店など)から】
二次元バーコードとハンディスキャナにより、検収や登録が簡単にできる。
【消費者から】
商品ラベルに印刷された追跡番号をPCや携帯電話からインターネット検索に入力するだけで、商品の産地や栽培方法、加工工場でのすべての作業工程、流通や販売店など、すべての履歴情報を簡単に知ることができる。
→→→ 消費者が安心できる食品を選ぶための情報を提供!!
興梠活用例を4つ挙げます。
●例1: 安全と安心を提供 農産物トレーサビリティ
農産物のトレーサビリティと有機JASを同時に利用できる。誰が、どこで、いつ栽培し、どのように、いつ入荷したのかがわかる。
・農家では、栽培と発育状況を毎日日誌に記録
・農家から加工センターへ商品が入荷する。出荷予定データと照合し、トレーサビリティ・ラベルを発行し小分け作業で取り付ける。トレーサビリティラベルの固有番号は、入荷日時単位に個別番号となる。
・加工センターには、農家から商品が入荷する。出荷予定データと照合し、トレーサビリティ・ラベルを発行し小分け作業で取り付ける。トレーサビリティラベルの固有番号は、収穫NO.として取り扱っている。したがって、入荷日時単位に個別番号となる。
・納品先へは日時が指定されているので、その時間に届くように配送計画に従って、出荷する。 納品先へ予定時間帯以外に届いた場合は、その情報を加工センターのPC担当者へFAXにて連絡する。 到着終了をもって、その情報はWebサーバへアップロードする。
・アップロードによって、インターネットを利用して、PCまたは携帯電話で商品の状況を把握できる。
●例2:モスバーガー(原材料の調達先との間で在庫や販売情報などを共有するシステム「Mos-Nile」)
物流センターや店舗の在庫情報や、店舗での販売動向までを取引先が確認できる。加工食材に続き、日配品であるパンや野菜の調達にも利用を広げ、契約農家が野菜の生産過程で使用した栄養素や除草剤に関する情報もMos-Nileで管理し、トレーサビリティーを確保する。
また、肉が国内に来た後、タグをつけ店舗への配送・納品などでRFIDタグをスキャン。生産国や州の情報を店頭の黒板に書く。ハンバーガーの主原料の1つである牛肉について物流工程をRFIDで管理し、その店舗で実際に使われている牛肉の生産地域を店頭に表示するなどの取り組みも行っている。
●例3:アパレル業界(オランダ、アムステルダム発の消費者団体『MADE-BY』、プラダ)
ICタグを使ったトレーサビリティの取り組み
MADE-BY…衣服の製造過程を追跡してレポートする機関。
何のためのレポートか?
・そのTシャツ、本当にオーガニックコットンか?
・本当なら、その工場まで明らかにできるのでは?
・縫製工場などで過酷な児童労働や搾取がおこなわれていないか?
・最終価格にどっさり利益を乗せてるのは誰なのか?
などを明らかにしていくことで、大手アパレルブランドとの国際的な価格競争の渦中にあっても倫理観の高いファッションを提供するプレイヤーの表に出てこない努力に光を当てている。
ニューヨークにあるプラダのソーホー店
IC タグ付きの服を試着室の中にある、リーダが付いたクローゼットにもち込むと、プラズマディスプレイで、その服のデッサンや素材、色、サイズなどの情報を見ることができる。ファッションショーのビデオやデザイナーのデッサン画が表示される。
また、客が気に入った服と、ハンドバッグやベルトなどの小物類をもって試着室に入り、小物を服用のクローゼットとは別の箱に入れると、それぞれの商品に付いているIC タグの情報から、それらを組み合わせた場合の画像がディスプレイに映し出される。さらに、もち込んだ服に似合う小物などを選んで、ディスプレイに映し出し、勧めてくれるようにもなっている。販売促進用のIC タグはプラグのロゴ「PRADA」がエッチングされており、現在はレジで回収して再利用している。
●例4:図書館のトレーサビリティ
ICタグ利用
書名や著者名などの情報を入れられる。
貸し出しの手続きのときにIC タグのアラーム情報を消去する。消去していない本がもち出されようとすると、警報が鳴るブックディテクションシステムも導入されている。
蔵書の点検や書棚のチェック→小型のハンディリーダを用いて書棚の本をスキャン
将来的には…入館者がリーダをもっていれば、本の要約が読めるとか、同じ著者のほかの著作があるかどうかがわかる、といったサービスも考えられる。