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阿蘇とは

What's Mt. Aso?

通称”阿蘇山(あそさん)”と呼ばれる阿蘇五岳とは,東から根子岳(ねこだけ:1,433m),最高峰の高岳(たかだけ:1,592m),中岳(なかだけ:1,506m),鳥帽子岳(えぼしだけ:1,337m),杵島岳(きしまだけ:1,326m)といった1,000m級の5つの山の総称のことである。
阿蘇山という単独の山が存在するわけではなく,南北約24km,東西約18kmの陥没したくぼみとその中に生じた中央火口丘からなる複式火山のことを指す。
また,カルデラの外側にはなだらかな火砕流台地によって”外輪山”が形成されており,学術的にはこの外輪山まで含めて”阿蘇火山”と呼ぶ。
阿蘇五岳は,お釈迦様の寝姿に似ていることから「阿蘇の涅槃像(ねはんぞう)」とも呼ばれる。
2007年,日本の地質百選に選定された(「阿蘇」)。

阿蘇の成り立ち

History

中部九州には阿蘇をはじめ,九重,由布・鶴見,雲仙などの多くの火山があり,日本でも有数の地下活動の激しい破砕帯として多くの研究者の注目を集めている。これらの火山活動や破砕は1本の巨大な地溝の中で起こったとする説があり,その地溝は2,300万年前に生まれ,今日までに3回の大きな隆起・陥没という上下運動を続け,3回目の30数万年前に現在の阿蘇が誕生したと考えられている。

現在,阿蘇の火砕流噴火はおよそ30万年前の阿蘇誕生から約8万年前の間に数万年の幅で4回あったと考えられている。1回の噴出量は数十立方kmで,中部地方の平たんな地形はほぼこれら4回の火砕流堆積物が作ったものである。阿蘇カルデラはこの4回の火砕流の噴火で誕生したと考えられており,南北25km,東西18km,周囲128km,面積380平方kmの世界最大級の巨大な陥没地形となっている。しかし,現在その中央には中央火口丘が生まれ,阿蘇カルデラは分厚い火山の噴出物でおおわれてしまい,その本当の姿を見ることはできない。

現在の外輪山は,カルデラ形成以前の先阿蘇火山群と呼ばれる小火山の陥没しなかった部分のことであり,俵山や鞍岳(くらだけ)など外輪山にある山は先阿蘇火山群の”生き残り”といえる。

カルデラにまだ水がたまってカルデラ湖があったころ,まず中岳が噴火した。中岳は中央火口丘のなかでは高岳と同じく古い火山だが,現在も噴煙をあげている息の長い火山である。その後烏帽子岳,杵島岳の順で誕生したとみられるが,いつどのような順序で噴き出し,いつまで活動を続けたかなどの詳細な生い立ちは分かっていない。また,最も興味深いのは根子岳で,中央火口丘の火山グループではなく,もっと古い時代の火山,つまり先阿蘇火山群の1つであり,その位置や岩石の年代測定の結果から外輪山の一部であるとする見解もでている。

現在も噴煙を上げ続け時々噴火する活火山である中岳の火口へは,火口西側まで道路が通じており,火口(カルデラ湖)を見物することができるようになっている。

[参考図書]
熊本日日新聞社編集局 「地域学シリーズ① 新・阿蘇学」 熊本日日新聞社 1987.11.30

イベント

Event

火振り神事
御前迎(ごぜむかえ)神事とも。
国の重要無形民俗文化財(昭和57年指定)
行事内容
阿蘇神社三の宮(国龍神)の姫君を迎える火振り神事。
シバ(カシの枝葉)で包まれた御神体が到着すると一斉に茅で作ったたいまつに火をつけ振り回す。農業守護神年禰宮の神婚式で,氏子が火振りし奥方を迎える。
火振りは夜に行われ,乾燥させたがまの穂に石油を浸し,針金で竹の先に結び付け振り回す。また,年齢を問わずだれでも参加することができる。
開催場所
阿蘇神社
祭典日
3月中旬 (干支で行うため毎年変更される)
参考URL
阿蘇神社の祭祀 阿蘇ネットワーククラブ
http://www.eva.hi-ho.ne.jp/suruga/asozinnjyamatury.htm
火口祈願祭
行事内容
神社で神事後,火口に御幣を投げ込み,噴火の害を鎮める。
開催場所
阿蘇山上神社にて神事後,火口へ移動。
開催月
6月
参考URL
阿蘇神社の祭祀 阿蘇ネットワーククラブ
http://www.eva.hi-ho.ne.jp/suruga/asozinnjyamatury.htm

豆知識

Did you know?

カルデラってなに?
カルデラとは普通の火口よりも大きい火山性の円形の陥没地のこと。
一般的に火口は1kmを超えることが少ないが,カルデラはそれよりもはるかに大きい規模となる。このような大きな陥没は単純な噴火や爆発でできたものではないと考えられることから火口と区別されている。

カルデラはそのできかたにより,爆発カルデラ,浸食カルデラ,陥没カルデラに大別されるが,阿蘇のカルデラは陥没カルデラで規模は世界最大級とされる。

ちなみにカルデラの語源はポルトガル語で「大なべ」を意味する。

[参考URL]
阿蘇山の成り立ち:阿蘇火山西火口規制情報 阿蘇火山防災会議協議会
http://www.aso.ne.jp/~volcano/html/history.html

伝説

Legends

根子岳のギザギザ頭

高岳,中岳,烏帽子岳,杵島岳そして末っ子の根子岳は誰が一番早く高くなれるか競っていた。結果,根子岳が長男の高岳さえも追い抜いて一番高くなった。しかしそれは鬼たちに阿蘇の国で自由に暴れさせる代わりに,竹田から土を運んで自分の頭に積ませたからだった。これを知った阿蘇大明神は激怒し,根子岳の頭をピシャリピシャリと何度も叩いた。そのおかげで根子岳の頭はギザギザになってしまった。

火口瀬

大昔の阿蘇は外輪山に切れ目が無く,その中には水がたまって広大なカルデラ湖になっていた。健磐龍命(タケイワタツノミコト,阿蘇大明神)はこの水を無くして田畑を造ろうと考えた。そこで外輪山の一部を蹴破ることにした。一度目に挑戦した場所はなかなか蹴破れない。というのもその場所は山が二重になっているからで,以後「二重(ふたえ)ノ峠」と呼ばれるようになった。

別の場所で再挑戦すると今度は見事に蹴破ることができた。しかし,そのはずみで健磐龍は尻もちをついてしまって「立てぬ!」と叫んだ。以後その場所は「立野(たての)」と呼ばれるようになった。

また,蹴破った場所からは大量の水が流れ出し滝となり,数匹の鹿も流されたことから,以後「数鹿流(すがる)が滝」と呼ばれるようになった。湖水が引いてくると底から巨大なナマズが現れた。ナマズが湖水をせき止めていたため,健磐龍は太刀でナマズを切り,ようやく湖水は流れ去ったという。

[参考URL]
Wikipedia 阿蘇山
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E8%98%87%E5%B1%B1