受験生の皆さんへ
ようこそ、熊本県立大学日本語日本文学科のホームページへ!
ここでは受験生の皆さんにとって関心のありそうな話題を、以下の3点に絞ってご紹介します。
1.日本語日本文学科は、どのような人を求めているのか
2.履修モデル(どのようなことができるのか)
3.どのような卒業生を送り出そうとしているのか
1.どのような人を求めているのか?
公式なアドミッション・ポリシーは、大学ホームページに掲載されていますので、ここでは、少し観点を変えて解りやすく要点を記しておきます。本学科が求めているのは、大きく2点です。
- ●「ことば」と「ことば」を通しての人間の営み(特に文学作品)に、強い関心を抱いていること。
- ●「ことば」や作品・思想への関心を糸口に、人間や社会との関わりの中で様々な問題を探究し、その成果を社会に向かって発信する意欲があること。
一つ目の「関心」のない人にとっては、大学は退屈この上ないところです。ただし、関心がありさえすればよいかというと、これも大きな誤りです。本学科が求めているのは、
- ●独りよがりな読書家ではなく、厳しい勉強から何かを得たい人
- ●知的探究のために、努力と労をいとわない人
です。
2.どんなことを学ぶのか、どのようなことができるのか?
以下には、卒業論文に至るまでの主要な学習内容と、履修の流れについて簡単に紹介しておきます。
1年次
日本語日本文学を研究するための基礎知識を身につけます。
【必修科目=必ず受講しなければならない科目】
●日本語学概論Ⅰ・Ⅱ…日本語を分析的に見直すための基礎を学びます。
●文献学基礎論…文学とは何かにはじまり、文献資料の扱い方やそれを証拠として使うための技術を学びます。
●文学研究法基礎…研究として文学を読むとはどういうことなのか、何を調べるべきなのか、どう調べたらよいのか。
●古典文学史Ⅰ…万葉の時代から王朝文学への史的展開を学びます。
●近代文学史…明治以降の文学の展開を学びます。
【選択必修=科目群の中から幾つかを選んで受講する科目】
●歴史基礎論…歴史とはどのように認識されるものなのか、史料の見方とともに学びます。
●言語基礎論…言語一般の基礎理論を学びます。
●知識と方法…思考のための基礎理論を学びます。
2年次
1年次の基礎から応用に至る学習段階です。
【必修科目】
●日本文法Ⅰ・Ⅱ…日本語の法則性と理論を学びます。
●現代日本語の分析…現代日本語について、日本語学概論の基礎知識レベルよりも深く踏み込んで分析するとどうなるかを学びます。
●古典文学史Ⅱ…一般になじみのある王朝古典と近代文学をつなぐ、中近世の文学の展開を学びます。
【選択必修】
●演習…具体的なテキストに向かいあい、各自で調べ発表をします。
資料読解の技術を身に付け、発表の技術を磨くための授業です。
以上、1、2年次の学習を通じて、文学作品におけることばの役割(重み)を学び、
言語の歴史性を学ぶことになります。
3年次
いよいよ研究対象を考えはじめ、絞り込んでいく段階です。
【必修科目】
●日本語史Ⅰ・Ⅱ…日本語の発展的知識を習得します。
【選択必修】
●演習
●特殊研究…卒業論文を意識しながら研究テーマを選択し、それに合った研究法を身につけます。
4年次
総まとめの時です。
卒業論文履修分野を選択します。
●日本語学分野
日本語の意味・表記・音声や文法、方言、ことばと社会との関わりなど、様々な課題を扱います。
●日本文学分野
古典から近代まで、詩や小説、物語はもちろん、様々なジャンルが対象となります。
●日本語教育学分野
日本語を母語としない人たちへ日本語を教授するための研究をします。理論面では、日本語の音声、文字・表記、文法、日本語教育の教材、評価法などを、実践面では、いろいろな教授法、指導案の作成方法などの課題があります。
●人文学分野
日本語や日本文学を、海外との比較により研究したり、周辺領域との関わりで研究したりします。
さらにその先に
大学院文学研究科(博士前期課程・博士後期課程)という選択肢も・・・
※詳しくは左メニューの「文学研究科とは」を選択してください。
3.どのような卒業生を送り出そうとしているのか?
公式なディプロマ・ポリシーは、これも大学ホームページに掲載してありますので、ここでは要点のみ。
- ●「ことば」や作品の研究を通して、論理的文章を書く力を身につけるだけでなく、広く論理的思考をもとに規範的な日本語を使いこなすことのできる人
- ●自分の学んだことの意義を考え続けていける人
こんな卒業生を送り出したいと考えています。
4.よくある質問
入試に関して、よく訊ねられる質問にお答えします。
- Q 小論文を採点しての感想を教えてください。
- A 近年は、自分の意見だけでなく、課題の文章の要約も課していますが、内容を理解し
- たうえで自分のことばで要約できている人が、極めて少ないという印象です。意味もわか
- らず、課題文の文章を断片的に継ぎ合わせただけ、という要約が目に付きます。
- 次に自分の意見を述べよ、と求めているところについては、課題文とまったく関係ない
- 意見を記す人がいますが、これは出題者の意図から外れています。
- また、要約と意見の間が断絶していて、唐突に話題が変わる書き方になっている文章
- も目に付きました。ひとつながりの小論文として文章を書いている、という意識をもってほ
- しいと思いました。
小手先の技術でなく、幅広い読書により、文章力と自分の意見を述べる力を養ってほ
しいと願っています。
Q 今年の入試(31年度入試)で特徴的なことがあれば、教えてください。
A 小論文や現代文分野の記述解答において、設問の趣旨を正確に把握しないまま、思
い込みで論述する例が少なくない、という印象をもちました。早とちりですね。
同じく記述解答において、国語的・文章的な不備が見られる場合がままあります。例え
ば主語・述語の係り受けがねじれた文などです。一文を長くしすぎないように、適宜分割
するなど、わかりやすい答案作成を心がけてほしいですね。自身の答案の見直し・推敲
が求められることは、言うまでもありません。
それから、小論文における課題文の要約ですが、記載する内容を絞り込み過ぎると、
要約なのに字数を持て余すという結果になります。課題文の構成や論点を自身の頭の
中できちんと把握した上で、不必要な繰り返し表現を避け、過不足なく的確にまとめ文
章化して欲しい、というのが希望です。
研究活動の様子(八代市立博物館未来の森ミュージアムにて)