研究内容 Research

感性情報処理

感性と配色(2)

FontSearch 配色は,特定の組合せにより意図した印象を伝達する効果があり,様々なコンテンツで利用される.しかしながら,その組合せ数は膨大であり,所望の配色を作成するには,色の知識や経験的なスキルを要する.その課題を解決するため,配色の統計値を用いた対話型進化計算手法(IEC)を導入した配色検索システムを提案する.本システムには,色相,彩度,明度および色差に基づく4種類の類似検索(SS)機能も導入されており,IECとSSを併用することで,膨大な配色データからユーザの所望する配色を全体の印象に基づき検索することができる.同時に,配色変換機能を利用することで,簡単に好みの配色に変換されたイラスト画像を生成可能である.

感性とグリッドレイアウト

FontSearch グリッドレイアウトは,基本的なレイアウトであり,ポスターやウェブサイト,フォトコラージュ制作などで多用されている.しかしながら,所望するレイアウトが抽象的な場合,一から手作業で制作することが難しく,パネル数を増やせば組合せが膨大になる.また,レイアウトのテンプレートを利用する場合には,多量のテンプレートがなければ,多種多様なユーザの要望に対応できない.そこで,対話型遺伝的プログラミングと対話型UIによるグリッドレイアウト生成システムを提案する.提案するシステムは,短時間で簡単にユーザの所望するグリッドレイアウトを生成できる.

感性とフォント

FontSearch フォントは,文字情報を効果的に伝達する重要な要素であり,デザインの要素として情報伝達に大きな役割を担っている.しかしながら,フォント名やフォントの要素などその知識が不足する一般の人々には,所望するフォントを見つけ出すことが難しい.そこで,フォントの視覚的類似性に着目し,一般の人々でも簡便に所望のフォントを探索できる手法を提案する.提案手法は,対話型遺伝的アルゴリズムと類似探索を任意に切り換えて使用することで,一覧表示からフォントを選択するより素早く所望のフォントを見つけ出すことができる.

感性と配色

PintingLikeImage 従来研究では,著名な画家の絵画を模倣した絵画調画像の生成手法が提案されてきた.しかしながら,個人の感性情報を絵画に反映することは難しく,似た絵画を制作することしかできない.そこで,本研究では,絵画の配色情報に着目し,感性情報を考慮した絵画調画像の生成手法を提案する.評価実験を通して,提案手法がユーザの指定する印象を反映する絵画調画像を簡便に制作できることが示された.

オノマトペとフォント

Onomatopoeia1 オノマトペは,少ない情報量で直感的に情報を伝達できる.さらに,適切なフォントを使用することで効果的かつ効率的な情報伝達を可能にする.しかしながら,適切なフォントは,デザイナの知識に依存しており,フォントの要素と印象に関する詳細は議論されていない.本研究はフォントの視覚的な特徴量から分析することで,フォントの要素と印象との関係について明らかにすることを目指す.

オノマトペと画像検索

KanseiSearch1 従来研究では,画像中の情報と抽象語(賑やかなどの形容(動)詞)を対応づけることで,抽象語の入力による画像検索を可能にしてきた.しかしながら,感情情報や味覚情報など画像中に含まれない情報も存在する.本研究では,感情情報に着目して簡便に感情情報を付加する手法として,オノマトペを利用した感情情報入力手法を提案する.さらに,その感情情報を検索キーとした画像検索システムの構築を実現した.

味覚と画像検索

KanseiSearch2 一般的な画像検索では,キーワード検索が用いられる.また,感性検索と呼ばれる画像の情報を利用した画像検索う手法も提案されている.本研究では,キーワード検索による個人の評価基準の違いを考慮し,味覚や食感の感性情報を用いて目的の商品を直感的に検索できる感性情報マップを用いた画像検索システムを構築した.本システムを用いることにより,既存の感性検索では取り扱えなかった味覚や食感などの感性情報を画像検索に活用することを実現した

感情と色彩効果

Emotion1 一般的に,感情は外界の刺激に対して一時的に起こる気持ちであり,記憶とともに薄れてしまう.現状では,感情を記録する有効な手段がない.感情表現の手法としては,画像効果が芸術作品の制作過程に使用されており,特に色彩効果は人間の色彩感情が関与して作品を印象づけている.そこで,色彩感情の特性を活用することで感情を記録することを考え,その足掛かりとして色彩効果と感情の認識に関する実験的検証を行った.

VR制作,人工知能(群知能)

張力提示とVR

Onomatopoeia1 張力提示に着目した移動型エンタテインメントVR作品“スパイダーヒーロー”を制作した.本作品は,スパイダーマンTMのようにクモの糸を使った空中移動を体験できる.体験者は,ウェブシュータと呼ばれるデバイスを両腕に装着し,画面前方に片腕を振ることで,仮想空間上のビルにクモの糸が発射される。次に,ユーザはクモの糸に引き寄せられながら移動する.その際に,ユーザは張力提示システムによって,実際に引っ張られながら移動する感覚を体験できる.また,本作品の展示で行ったアンケート調査結果より,本作品がエンタテインメント性を有しており,提案する張力提示システムが,ユーザに充分な張力を与えていることが確認された.

二次割当て問題と群知能

ACO-QAP 二次割当問題は,NP-困難な問題として知られており,実時間内で解くことが非常に困難である.そこで,本研究では最適解を求めるため群知能を利用する.群知能の一手法として,アントコロニー最適化法は,最適化問題への有効性が知られている.その中でも,MAX-MIN Ant Systemと呼ばれる手法の探索性能が高いことが知られている.本研究ではこの手法にランダム探索を加えることでさらなる解探索効率の向上を目指し,実験を通して二次割当問題での有効性を確認した.
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