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「高度グローバル人材育成プログラム」学生隊員現地レポート【タイ便り vol.4(德久桃花さん)】

タイ便りvol.4

文学研究科日本語日本文学専攻

博士前期課程2年 德久桃花

 任地に着任して7カ月が経ちました。活動の進捗と後半の計画についてお伝えします。

【活動進捗】

 これまで「文字の定着」と「異文化理解の促進」の2点を軸に据え、活動に取り組んできました。「文字の定着」を意識したアクティビティの例として、たくさんある漢字の中から、一つだけ違う漢字を見つけ、似ている漢字の読み方や意味を整理する活動や、日本のコマーシャルを用いたディクテーションおよびコマーシャル(CM)作成などを行いました。

漢字ワークシート 
生徒が作ったCM

 ディクテーション(音声を聞き取り、文字に書き起こす学習法)では、日本で放送されているCMを使用しました。海外のCMは商品の利点を直接的に宣伝するものが多いですが、日本のCMは商品に関わるストーリーや隠喩的な表現でメッセージを伝えるものが多いので、生徒たちはその違いも面白く感じていたようです。自然な速さの日本語をはじめから聞き取ることは難しいですが、単語や表現の意味を確認したり、音声のスピードを変えたりすることで、少しずつ理解を深めました。また、グループごとに生徒が作成した日本語のCMは、「おいしくてやみつきになる悪魔のタピオカ」や「食べると友情が生まれるお菓子」など、個性やアイデアに溢れており、私自身も楽しみながら鑑賞しました。教科書を使った学習だけでなく、生徒自身が学んだことを生かして新しいものを作り出すという活動は、生徒のさらなる学習モチベーションに繋がるなと感じます。

 異文化理解の促進に向けた活動としては、日本の文化や慣習をテーマに授業を行う「日本語クラブ」や、日本の小学1年生との「年賀状交換」、日本の季節行事や時事ニュースを取り上げた「日本語ニュース」の発行などを行いました。

年賀状を書く生徒たち
日本語ニュース

 年賀状交換は、福岡県の小学校で教員をしている友人の協力を得て実現しました。生徒間の年齢差はあるものの、お互いにひらがな、カタカナを学んだばかり。生徒には「小学1年生に渡すからきれいに書いてね!」とお願いし、いつもより時間をかけて丁寧に字を書いてもらいました。タイの生徒たちは、とても絵が上手です。特に、色鉛筆の使い方が上手く、みんなきれいに年賀状を仕上げていました。約1か月後、日本から届いた年賀状を受け取ると生徒たちは大喜び。普段はあまり日本語学習に興味を示さない子も、「これは何て書いてあるの?」「この絵はどういう意味?」と質問してきました。日本語を使って日本人と交流することが、生徒の喜びに繋がったことをとても嬉しく思います。

【後半の計画】                                                 

 前学期は、生徒との交流を通じて多くの学びがありました。私のタイ語が稚拙なせいで、指示が上手く伝わらなかったり、「日本文化」を伝えることに悩んだりなど、思い通りにいかないこともたくさんありましたが、その度に新たな気づきを得ることができました。失敗の中にこそ学びがあり、その一つひとつが今後の成長の糧になると実感しています。

 来学期は、前学期の活動を引き続き行いながら、日本人との交流の機会をさらに広げていく予定です。その一環として、現在日本の高校生とのオンライン交流会を計画しています。生徒が言語の壁を越えて交流を楽しみ、相互理解を深められるよう、今後も積極的に活動に取り組んでいきます。

新しい日本語教室の前で、同僚の日本語教師と著者(右

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国際教育交流センター

FAX:096-234-6967