海外インターンを経て
総合管理学部総合管理学科
3年 植木 綾香
私にとっては今回が初めての海外渡航で、インターン自体も初めてでした。出国前は不安ばかりで、先生方や一緒に渡航する前田さんに頻繁に相談していました。カンボジアに到着してからは、日本とは全く異なる文化や暮らし方に衝撃を受けながらも、そこでの生活を楽しむことができました。
私は、株式会社イル・ヴリール(以下、イル・ヴリール)がカンボジアに展開している美容サロンにて、1ヶ月間インターンシップを行わせていただきました。イル・ヴリールは、東京都新宿区にあり、独自の抗糖化化粧品を販売し、それらを使用したエステサービスを提供されています。現在はカンボジアにもサロンを開き、カンボジア産のゴールデンシルクを使用した高品質な化粧品の開発・販売や、日本式のホスピタリティを持ったエステサービスを提供なさっています。私が担当した業務は主に、イル・ヴリールの強み(ストロングポイント)をまとめたポスターの作成、サロン運営の基盤作り、日本式のおもてなしの指導の3つです。
インターンシップ開始直後に加藤和則社長から、イル・ヴリールの持つ5つのストロングポイントを説明していただきました。イル・ヴリールがカンボジアのゴールデンシルクを使用し、衰退しているカンボジアの伝統文化であるシルク産業を支えると同時に、質の高い化粧品の提供を行っていることや、美容学校を政府と協働して開校し、公的な資格を持ったエステティシャンを育て、女性の社会進出をサポートしていることなどをポスターにまとめました。
私はこのポスターを作成する上で、イル・ヴリールについて詳しく知ることができただけでなく、締切期限から逆算して計画を立てるということを学びました。あるタスクの締め切りを指示された際に、そのタスクの完成に必要な細かい作業の段階をリストアップし、一つ一つにどれだけの時間がかかるのかを考えます。それを締め切りから逆算して考えれば、仕事のタイムスケジュールや今後の仕事の流れが決まります。私は、スケジュール管理が苦手だったので、この方法を実践して日々の業務を行いつつ、ストロングポイントのポスターを完成させることができました
作成したポスターが壁に掲示される
私がこの1か月間を通して特に学んだことは、組織の運営基盤を作ることの大変さです。シフト表、予約表、スタッフミーティングの進め方や議事録のテンプレート作り、清掃、業務内容のマニュアルの作成など、これからのサロンの運営に必要な基盤を作る仕事に多く携わらせていただきました。自分の仕事によってこれからのサロンの方向性が決まるかもしれないと思い、責任感と緊張感を持って取り組みました。どの業務も難しく、組織の基盤を作ることの大変さを実感したと同時に、既にある基盤は、誰かが将来を綿密に考えて作ったものなのだろうと気づき、スタッフにはきちんと遵守してもらいたいと思いました。また、周囲とコミュニケーションを密に取りながら、共通理解を持って仕事に取り組むことが重要であることも学びました。それからは、共通理解のための確認方法を意識し、自分の考えを的確に伝えられるようになりました。
アルバイトでホテルスタッフとして働いている経験から、日本のホスピタリティに重要な笑顔や立ち方などの基本について現地スタッフの方々にお話しさせていただきました。異なる文化を取り入れるのは難しいことだと思いますが、練習にも一生懸命取り組んでいただけましたし、少しでも皆さんに貢献できたと感じられ嬉しかったです。
現地スタッフとのミーティング
日本のおもてなしの姿勢を現地スタッフに指導
そして、今回自分の中で最も不安視していた英語でのコミュニケーションについては、やはり英語でのコミュニケーションそのものも、英語を使って仕事をすることもとても難しいと感じました。しかし、この1ヶ月間は自分なりに工夫して同僚と英語での会話を増やすように心掛けました。お陰で、文化も環境も異なる現地スタッフの方たちと打ち解けて、食事に誘って頂くほど仲良くなることができました。
他にも、イル・ヴリールが開校した美容学校や、王立農業大学内にあるイル・ヴリールのラボを見学させていただきました。また、サロンは今年の4月にユーロパークに移転したのですが、周辺には富裕層が多く住んでおり、日本では見られないような豪邸がたくさん並んでいるのを目の当たりにして、カンボジアが大変な勢いで発展していることを実感しました。一方で、ユーロパーク周辺や発展した中心地から少し外れると、その日暮らしで生活費を稼いでいる人も多くいて、その格差に衝撃を受けたことに加え、日本にいたら知ることは無かっただろうなと思いました。
また、美容学校に通う女性たちは、将来自分のエステサロンを開くことを目標に勉強やエステの練習に励んでいました。イル・ヴリールのサロンで働く現地スタッフの皆さんも、それぞれの夢に向かって学校に通いながら日々頑張っていらっしゃる方ばかりでした。様々な事情で、日本と比べるとカンボジアでは夢や目標を叶えるのは難しいように思われます。しかし、自分の置かれた環境で全力で努力するカンボジアの皆さんの姿に感銘を受け、多くの刺激を得ることができました。
ユーロパーク周辺にある豪邸
美容学校の様子
私は、将来ホテルスタッフを目指しているのですが、今回のインターンシップ及びカンボジアでの生活を通して、カンボジアの方々は日本人の持つ常識とは全く異なった考え方を持っていらっしゃるということをとても感じました。今後、海外の方を相手に仕事をしていく上で、それぞれの常識や価値観、文化・歴史的背景があることを意識して、自分の中の当たり前を押し付けないように注意しながら、日本のおもてなしを実践していきたいと思います。このカンボジアでのグローバル実践活動で、日本では得られないような多くの出会いや経験、学びを得ることができました。参加できてとても良かったです。
(終わり)