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伊藤信悟客員教授の特別講義を実施しました

令和6年(2024年)7月2日、本学客員教授の伊藤信悟先生(株式会社国際経済研究所主席研究員)による特別講義「台湾経済と世界」を実施しました。

講義をされる伊藤信悟客員教授

今回の講義では、地政学リスクの観点、経済安全保障上の観点からも注目されている台湾に焦点を当てつつ、世界経済における台湾の位置など俯瞰した内容も盛り込んでいただきました。

まず、「台湾内で生産される製品で世界でのシェアトップを誇る半導体の受注生産は、世界の7割を超え、シリコンウエハやICデザインも世界トップクラスの生産額を誇っており、海外生産も含むと、ノートPC・デスクトップPCなども世界シェア1位を誇っている、ここまで成長した台湾の半導体産業の強みは、設計工程・前工程・後工程をそれぞれファブレス・ファウンドリー・OSATで垂直分業するという独自の分業制度にある」と説明されました。

台湾の半導体産業が興隆した歴史的背景について、「1960年代から電機電工産業の発展と共に理工系高等教育が発展して技術者が創出されるようになり、1970年代には台湾の産業技術研究開発の拠点として工業技術研究院が設立されるなど台湾の政府がIC育成を進めた結果多くの優秀な技術者が企業家に成長し、1980年代にはファウンドリー専業というビジネスモデルが世界に先駆けて本格的に創出(TSMCもこの頃に設立)、米国シリコンバレー等との人的ネットワークの広がりも相まって今日まで発展してきた」と詳細にお話しいただました。

台湾と中国の政治経済関係については、台湾住民の中台関係の認識度合いや台湾人であることのアイデンティティの高さといって国民性を窺える内容も交えながら「台湾社会は、戦争が起こったときのことを将来的にはもちろん心配しているが、昨今の株価や実質GDP成長率の推移を見る限り、現時点で経済活動を手控えるまでには至っていない」との見解を述べられました。

最後に、「日本では“台湾は親日だ”とよく言われており、それ自体を否定はしないが、日本統治時代の当時の日本人すべてを正しく思っているわけではないという事実も踏まえ、台湾の歴史を改めて勉強することや関係をより良くするために議論を続けることが望ましい」「少子高齢化、エネルギー、海外市場開拓、防災防疫などの日本と台湾共通の課題を相互に協力関係に結び付けていくためにも、交流が必要・相互理解が何よりも必要」と締めくくられました。

特別講義の際の教室内の様子

お問い合わせ先

事務局 教務入試課教務班

FAX:096-383-2364