大島教授は、菊池市の民家で幕末頃製の地球儀を発見し、その後数年にわたって分析し、その正体を突き止めた報告書『菊池市石淵家蔵地球儀の総合的研究―構造・造形技法・世界図―』(菊池市教育委員会、2022年3月)を刊行しました。

　まず、X線CTスキャナによる断層撮影図を駆使して、地球儀の構造と造形技法の解明を図りました。その結果、中は空洞で、竹で地球儀の骨格を組み、その上から和紙を貼り付けて製作した紙張り子製であることが判明しました。次に、書誌学的手法を用いて球面上の世界図の基図を同定しました。これらの仕事を通して、地球儀の製作時期を天保11年(1840)から明治5年(1872)の間に限定することに成功し、また、状況証拠から石淵家が入手した時期を推定しました。

　当該地球儀の発見については、『熊本日日新聞』の2015年8月13日朝刊ならびに2018年1月21日朝刊で紹介され、また、大島教授による報告書の刊行と分析の成果は、同紙の2022年5月2日朝刊に掲載されています。