ごくありふれた草花であるペンペン草(なずな)がそこに咲いていても普段気づく人はほとんどいません。
しかし、松尾芭蕉は、
よく見れば薺(なずな)花咲く垣根かな
との句を詠みました。この句は、ごく普通のペンペン草であっても、実は「よく見れば」新鮮な感動を与える対象なのだということを教えてくれます。ぺんぺん草に驚く芭蕉の鋭敏な感覚に驚いた津曲研究室では、芭蕉の感性を継承すべく、日常の中に埋没し無意識化されてしまった記憶をインスパイア(inspire)させるプロジェクトを立ち上げました。それが、
ナズナ花咲くプロジェクト
です。ゼミの内部・外部からなる有志をメンバーとする自発的プロジェクトで、日常の中に埋没している微細な変化を捉えようという高度に知的な挑戦です。
このプロジェクトで、透明化してしまった場所の歴史・文化的記憶を取り出し、それをメディアによって重層的に表現することで、その場所の豊かさを回復しようと考えています。
最初の地に選んだのが玉名市岱明町高道地区。ここで、「ナズナ花咲くプロジェクトin玉名(ぶらぶらぶつぶつウォーキング)」の実験に有志7人で取り組みました。この知的で行動的な取り組みには各地の自治体職員さんも参加されました。全員、夏季休暇をとっての参加でした。
高道地区「コミュニティカフェ味彩」をベースキャンプにして 事前打ち合わせ |
場所の言語情報化に向けて出発 |
途中、「不審者警戒中」の旗がたくさんありました・・・(^^; |
昼食はもちろん玉名ラーメン |
言語メディア化した地域情報を全員でチェック(追体験) |
ベースキャンプに戻り今回の問題点についての反省会 |
今回の実験参加全員です |
追記
フィールドワーク開始直後、不審者7人がぞろぞろとベースキャンプからでてきて出発しようとしたら、地域の方が怪しげな目で・・・
地区出身のメンバーが、「実験です!」と話したら、すぐに納得された。あのような地域で、そのリアクションにかなり驚きました。
「実験」ということがすぐに通じたことに驚愕しました。なんとステキで先進的な田舎だろう、と。その発見も私にとってはひとつの「ナズナ」でした(津曲)。